前編では小笠原諸島への行き方や、母島について紹介しました
後編は小笠原観光の中心地となる父島についてです
なお、この記事の中では、小笠原村観光協会さまご了解のもとで、同協会ホームページから写真やマップなどを一部借用させていただきました(「©︎2019小笠原村観光協会」の表示があるものです)
魅力満載の父島
父島は、東京港から約1000キロ南にある周囲約52キロメートル、人口約2000人の小さな島
言わずと知れた世界自然遺産小笠原諸島の中心です
父島への旅は今回が2回目ですが、約3年前の前回も、2020年3月に行った今回も、心からの喜び、そして安らぎと満足が得られる、素晴らしい経験でした
その父島の魅力を実際の体験に基づいてご紹介します
父島の遊び方
スケジューリング
小笠原の旅で僕が大好きなのは、ここ小笠原特有の大自然を全身で感じること
そのためのポイントだと思うことは
☆限られた時間の中にツアーをうまく組み入れること
☆自然の中で自由にのんびりゆったりする時間を持つこと
ツアーでなければ経験できないことや、ツアーの方が便利なことがあるので
- まずは、自分が何を経験したいのか
- それにツアーが必要か自分で行けるか
- ツアーが必要ならばそれをどこに組み入れるのが合理的か
- ツアー以外で自由気ままにのんびりする時間をどこに確保するか
といったことを考えてスケジューリングするといいと思います
前編で書いたように、小笠原の旅は
・片道24時間の船(おがさわら丸)の旅
・ほぼ1週間に1便しかないおがさわら丸の航海日程に合わせる
という特殊性があるので、1航海(乗って行った船が父島に3泊停泊して東京に行く時に乗って帰るケース)での旅の場合、島に滞在できるのは3泊4日だけです
これが2航海(乗って行った船が父島に3泊停泊して一度東京に行き、3日後、再び父島に戻ってきて3泊停泊して東京に向かう時に乗船して帰るケース)の場合は小笠原に9泊10日滞在できることになります。
多くの人はそんなに長い休みを取れないので1航海になりますし、それだけでも大満足の旅をすることは十分可能ですが、僕が強くお勧めするのは2航海での旅です
せっかく片道24時間かけて南国のパラダイスに行くのだから、十分に満喫しないともったいないし、母島も含めて見所や体験したいことはたくさんあるし、のんびり過ごす時間も大切だと思うので、ゆったりとした気持ちで大自然の素晴らしさを感じて欲しいからです
基本情報源
父島の基本的な情報については、小笠原村観光協会のホームページで調べるのが便利です。みどころ、宿泊、食事、ツアー、島の歴史など、大抵のことはこのホームページでわかるので、ここで調べながら予定を考えたり、予約を入れたりすることができます。
また、小笠原村観光局のホームページにも類似の情報があります
紙ベースでの情報源として便利なのは、小笠原村観光協会発行の「父島ガイドマップ」。みどころとそこへのアクセス、ツアー業者、宿泊施設、飲食施設、注意事項などが地図とともにコンパクトにまとめられていて、携帯にも便利。おがさわら丸の中でもゲットできますし、小笠原村観光協会のホームページの中にデジタル版があります。
近く2020年版「父島ガイドマップ」が公開されるそうですので、これからご利用の方は、最新版をチェックしてください
それと、紙ベースで持っていると便利なのが
①歩いてそこまで!お散歩マップ
②海辺で遊ぼう!海散歩マップ
③小笠原グルメマップ
①は、父島の中心地である大村地区周辺の歩いて行けるみどころを紹介して、そこへの行き方や観光のポイント、散策のモデルコースなどを地図入りで教えてくれます。
②は、父島の主なビーチの特徴や行き方、海の生き物の図解と注意点などを地図入りで教えてくれます。
③は、父島の主な飲食店とその詳細を写真入りで紹介してくれていて、飲み食いどころ探しに便利です。
これらも、おがさわら丸の船内や島内にある小笠原村観光協会などで入手できるので、最初に手に入れて持ち歩くと便利です。また、小笠原村観光協会のホームページの中でもデジタルパンフレットとして見れるようになっています
小笠原村観光協会の窓口は、町の中心の「Bしっぷ」と呼ばれる建物の中にあります。Bしっぷは、集合場所とか見所までの所要時間の起点とか、何かと使われる場所なので覚えておくと便利です
父島でも、集落を中心にネットが使える場所は多いのですが、僕的には、スマホを見ながら歩くよりも、紙の地図を参照しながら、自分の目で周りを見たり、その辺にいる人に聞いたりしながら歩いた方がリアルな小笠原を感じられる気がします。
紙の情報は、1年くらい前のものだったりして、現状とずれていることもありますが、違っていたら、あ、変わったんだな〜と思って終わりでいいんじゃないかなと。細かいことにこだわったり、他人の不完全さを非難したりするような心の在り方ではない方が、のんびりしたこの島の良さを感じられてハッピーになると思います
移動手段
父島は周囲約52キロメートルの島で、見所があちこちに点在しています
ツアーに参加した時は車で送迎してもらえますが、自分で宿から離れたビーチや山などへ行くには、なんらかの移動手段が必要です
まず、境浦海岸、扇浦海岸、小港海岸へ行くのであれば、村営バスを使うことができます
大村地区にある村役場前から終点の小港海岸まで約20分で着きます
乗車料金は大人一人200円、一日券なら500円です
1、2時間に1本くらいの割合で走っています
時間を気にせず自由に好きな場所へ移動したい、あるいはバスでは行けない山間部へ行きたいなら、レンタカーやレンタバイクが便利です
僕は、前回も今回も、必要な日数、レンタバイクを借りて移動に使いました
なお、父島では、運転に慣れない観光客の交通事故が不安視されているようで、借りる時に、「普段から乗り慣れていない人は電動アシスト付き自転車にしてください」と言われました。運転には充分注意してください
運転ができない人、不安な人には自転車や電動アシスト付き自転車のレンタルがあります
いずれも小笠原村観光協会のホームページ内に詳細の案内が出ています
参考までに、上記ホームページでも紹介されている小笠原観光有限会社のホームページの該当部分のリンクを貼っておきます(ここには下で説明するシュノーケル用品のレンタルについても載っています)
なお、タクシーもあるということですが、台数が少ないそうなので、利用したい時間に利用できるか事前に確認してください
シュノーケル用品のレンタル
シュノーケリングに必要なマスクやフィンなどのセット、必要に応じてウエットスーツ、ライフジャケットなども、現地でレンタルできます
海のツアーをやっている業者であれば大抵レンタルもやっていると思いますが、参考までに今回利用したトロピカルインPAPAYAのホームページのレンタルに関するページのリンクを貼っておきます。ここにはレンタバイク、レンタサイクルについても掲載されています
注意事項
日焼け、熱中症対策など、一般的な注意事項はもちろんですが、特に強調しておきたいのは、みんなで小笠原の美しい自然を守っていこうということです。
小笠原エコツーリズム協会発行の小笠原ルールブックというものがあり、詳細なルールを定めていますので、関係しそうなところに目を通しておくといいと思います
小笠原ルールブックのPDF版が、小笠原観光協会のホームページ内に掲載されていますので、そのリンクを貼っておきます
上記のルールブックにも載っていますが、一つの指針として小笠原カントリーコードというものが定められているので紹介します
小笠原カントリーコード(自然と共生するための10カ条)
- 貴重な小笠原を後世に引き継ぐ
- ゴミは絶対捨てずにすべて持ち帰る
- 歩道をはずれて歩かない
- 動植物は採らない、持ち込まない、持ち帰らない
- 動植物に気配りをしながらウォッチングを楽しむ
- サンゴ礁等の特殊地形を壊さない
- 来島記念などの落書きをしない
- 全島キャンプ禁止となっているのでキャンプしない
- 移動はできるだけ自分のエネルギーを使う
- 水は大切にし、トイレなど公共施設をきれいに使う
大村地区
観光客にとって、父島の中心街は大村地区です。ここに多くの宿、飲食店、商店、ツアー会社、レンタルショップなどが集まっているので、宿泊するのはこの辺りが便利です(もちろん、もっと静かな場所が良ければ境浦や扇浦の宿に宿泊するのもありです)
僕は前回も今回もこの大村地区に宿泊しました。
そして、ここから歩いて行ける範囲内にも、父島の素晴らしさを感じられる見どころがたくさんあるので、僕が体験したところをいくつかご紹介します
ここでも、小笠原観光協会発行のガイドマップがわかりやすいので、その中から、大村とその周辺のマップを転載します
大村海岸
大村地区のメイン通りから大神山公園(おまつり広場)を挟んですぐ前にあるのが大村海岸、通称「前浜」です。
きれいな砂浜に青い海、心地よい風が木々を揺らす憩いの場所です。
残念ながらサンゴ礁ではなくてサンゴダストの海なので、他の海岸に比べて魚はあまりみられませんが、中心街の目の前という場所なので、朝晩、気軽にビーチでの静かな時間を過ごすことができます
僕も、何度か空き時間にここを訪れ、その度に小笠原に来ていることを実感して幸福感に浸りました
緑あふれる素朴な大神山公園も気持ち良いですし、公園の中にはトイレやシャワーもあって便利です
小笠原の海は一年中泳げますが、季節によっては冷たさ、寒さを感じることがあるので、気をつけてください
今回3月の後半時点では、曇っていて気温が低い日は、結構寒かったです
前回10月に行った時は、まだもう少し水温が高かった気がします
ウエットスーツ、ラッシュガードなどを着用して海に入ることや、海から上がった時に体を温める大判タオルや厚手の衣類を用意することも検討するといいと思います
ウェザーステーション展望台
中心街から歩いて35分くらい、三日月山の中腹にある展望台で、夕陽鑑賞の有名スポットです。
1月から4月頃の時期は陸からのホエールウォッチングスポットでもあります。
丘の上までかなり急な坂を登るので、歩いて行くのはそれなりに大変ですが、その疲れを吹き飛ばしてくれる広大な太平洋のパノラマと、水平線に沈む感動的な日没ショーを見ることができるおすすめの場所です
歩くのが辛い方は、レンタカー、レンタバイク、宿泊先によっては送迎サービスを利用していくのもいいと思います
前回来たときは、グリーンフラッシュという、太陽が水平線に隠れる瞬間に一瞬緑色の光がフラッシュする現象を見ることもできました。
今回は、日が沈む最後のところで太陽が雲に隠れるパターンが多くてグリーンフラッシュは見られませんでしたが、滞在中何度も通い、近くを泳ぐザトウクジラの姿と美しい夕陽を堪能しました。
大神山神社、パノラマ展望台
市街地の裏の丘の中腹に大神山神社があり、その脇の遊歩道をさらに登って行った先にメイン展望台、その奥にパノラマ展望台があります
パノラマ展望台まで中心街から歩いて20分くらいなので、ちょっとした時間を利用して気軽に行くことができました
市街地側から神社に行くには、長い階段をのぼるルートと一本西側から坂道を登るルートがありますが、お好みでどちらから行ってもいいと思います
案内板によれば、大神山神社には、天照大神、誉田別命(ホンダワケノミコト)、天児屋根命(アマノコヤネノミコト)の三柱神に、天之御中主命(アマノミナカヌシノミコト)、大物主神(オオモノヌシノミコト)が合祀されているそうです
この神社の境内はとても清々しく気持ちの良い場所だったので、誰もいないのをいいことに、しばらく芝生に寝転がってその心地良さを味わいました
おがさわら丸の入港日や出航日には、お札やお守りなどを販売する窓口が開きます
神社の境内からも二見湾が見えますが、メイン展望台、そしてパノラマ展望台にも足を伸ばしてみると、さらに広い絶景が見渡せます
その周辺を散策するルートもあるようです
小笠原海洋センター
今回は見ることができませんでしたが、前回来たときは、中心部から歩いて約35分のところにある小笠原海洋センターにも行きました
ここはウミガメの飼育水槽が見学できる場所で、カメに餌をあげたりすることもできましたし、時期によってはウミガメ教室や放流体験などもできるようです
ウミガメが好きな人は、ぜひ見学などしたいところですね
海のガイドツアー
僕にとって、小笠原の最大の魅力はその美しい海です
前回は、南島上陸とドルフィンスイムと兄島海域公園(熱帯魚が密集しているサンゴ礁の海域)シュノーケリングが組み合わされたツアーに参加しました
そして今回は南島上陸とドルフィンスイム・ウォッチング、ホエールウォッチングが組み合わされたツアーに参加しましたので、その様子をご紹介します
海の荒れ具合、イルカや鯨と遭遇できるかどうかなど、その時のコンディションによって実施できるものとそうでないものがありますが、幸運にも全て思い切り満喫できて、大満足でした
僕が今回、海のツアー、陸のツアー両方でお世話になったツアー業者「竹ネイチャーアカデミー」のホームページはこちらです
そのほか、スクーバダイビング、釣り、シーカヤックなど、それぞれの好みに応じて、海の美しさや豊かさを思い切り味わえるのが、小笠原の凄いところだと思います
前回同じ宿に泊まっていた人の中には、本格的な海中写真機材を持ち込んでダイビングをしていた人もいましたし、今回もダイビング中にマンタや鯨に遭遇することができたという話を聞きました
南島上陸
南島は、父島の南西(地図で言うと左下)にある小さな無人島
特有の植生、扇池と白い砂浜が作り出す美しい景観は、小笠原を訪れたら一度は体験して欲しいおすすめのスポットです
ここはかつて人が利用し、野生化したヤギが植物を食べ荒らした過去があるので、植生回復のため特別に保護されたエリアになっていて、東京都認定のガイドと一緒でなければ上陸できず、滞在時間も2時間以内とされるなど、入島が厳しく制限されています
そのため上陸するには、少人数(15人以内と決められている)のガイドツアーに参加することが必要です
小型の船で南島まで来ると、かなり狭い水路を上手に抜けて鮫池と呼ばれる入江に入り、簡素な船着場に着岸します(なお、大きめの船を使うツアー業者の場合は狭い水路を抜けられないので、泳いで上陸することになるそうです)
上陸したあたりは、ラピエと呼ばれる鋭く尖った岩だらけの地面で、転んだらめっちゃ痛そうですので、怪我をしないよう注意して歩いてください
自然を守られた無人島ならではの清らかさとパワーを感じながら歩くと、やがて眼下に美しい扇池の景観を見ることになります
僕が今回上陸したのは午後だったのですが、太陽光の当たる向きの加減で、反対側の父島がある方向の海の美しさが際立っていて、父島の南岩壁にあるハート型の赤い岩、「千尋岩」(通称ハートロック)がよく見えました
砂浜の一角にはヒロベソカタマイマイという1000年から2000年前に絶滅した種の半分化石化した死骸が大量に埋まっていました
ドルフィンスイム、ドルフィンウォッチング
数ある小笠原の魅力の中でも、個人的に一押しなのが、このドルフィンスイムです
前回来た時に初めて体験しましたが、そのときはミナミハンドウイルカの群れと一緒に泳ぎ、目が合ってコミュニケーションが取れた感覚がなんとも忘れ難い感動的な思い出となりました
今回もドルフィンスイムをとても楽しみにしていましたが、ツアーガイドの事前の話によると、今回はイルカと遭遇して一緒に泳ぐことはあまり期待できないということでした
しかし、船を走らせている間、僕はイルカにはテレパシーが通じるという怪しげな直感を信じて、心の中で「一緒に遊ぼう」とイルカを呼んでみました
そのおかげかどうかわかりませんが、ガイドさんの予想でハートロック付近の海域を探し回ったところ、ありがたいことにハシナガイルカの大群と遭遇することができました
ミナミハンドウイルカが人懐こいのとは違い、ハシナガイルカは警戒心が強く、人と一緒に泳ぐことはあまりないということだったので、しばらくは船の周りを泳ぎ回るイルカの大群を船の上から見て楽しんでいました
船のすぐ近くを船と一緒に泳ぎ、時々飛び上がって回転したり、何頭もが一緒に海面に出てきたりという様子が、透明度の高い海水を通してとてもクリアに見えたので、それはそれでめちゃくちゃテンションの上がる幸せな時間でした
そのうち、僕があまりにも嬉しそうにイルカに話しかけているのを見て、これなら行けると思ったのか、ガイドさんが、「泳いでみますか」と声をかけてくれました
僕は、即答でイエスと言って、レンタルしたシュノーケリングセットを身につけ、急いで海に入りました
最初は、イルカが離れて行って見失いかけましたが、その後お互いに慣れたのか、イルカの群れが近くで遊んでいる状態になりました
その情景は夢のようで、映像で記録できれば良かったのですが、それができなかったので、文章でシェアします
向こう側から太陽の光が差し込む海中を、何頭ものイルカの群れが泳いできた
そして逆光の中、深いところから海面へと一斉に上がっていく
何組かのカップルが寄り添うように絡み合い、くるくる回りながら上がっていく
別の一頭が白い布切れのようなものをヒレに引っ掛けてたなびかせなが泳ぎ周っている
しばらくして他のイルカが近づいてきた時に、まるでパスするようにその布切れを手放し、他のイルカがそれをヒレでキャッチして泳ぎ出す
また別のイルカが僕の真下で空気の塊を吐き出してくれた
綺麗なドーナツ型の空気の塊が、太陽の光を浴びてキラキラ輝きながら僕の目の前を上がっていく
そして多分そのイルカが、体を捻って僕の方に左目を見せ、視線を合わせてくれた
僕はそのイルカが、「こっちにおいでよ。一緒に遊ぼうよ」と言っているみたいな気がして、少し素潜りしてみたけど、イルカのところまでは行けず、また海面で浮かびながらイルカたちを眺めていた
イルカの大群はただ泳いで、愛し合って、遊んでいる
そこにあるのは、ただ純粋な愛に満ちた世界
この時間を体験できただけで、僕は今回の小笠原旅行に来て良かったと心から満足しました
今度はもっと素潜りができるようになって、もっと近くで一緒に泳ぎ回りたいです
そして思ったのは、「人間社会も、あのイルカたちみたいな愛だけに満ちた世界になったらいいな。少なくとも僕はそういう世界を生きたいな」ということでした
ホエールウォッチング
南島へ行く途中、何頭かのザトウクジラと遭遇し、一頭はかなり間近で見ることができました
イルカに比べるとさほど期待していなかったのですが、実際に間近でこの巨大な生き物を見たときには、やはり興奮してテンションが上がり、その迫力に感動してしまいました
境浦海岸、扇浦海岸
境浦海岸、扇浦海岸とも、大村地区からバスやレンタバイクなどで簡単に行ける、穏やかな美しいビーチでした
僕は境浦海岸でシュノーケリングをしたり、浜辺でのんびり過ごしたりしました
特に、少し泳いで行ったところに太平洋戦争中に魚雷攻撃を受けて座礁した濱江丸という沈没船があり、熱帯の魚がたくさん住む漁礁になっているので、そこまでシュノーケリングで行って魚と戯れるというのが、とても楽しかったです
浜辺には、東屋のような休憩所やトイレもありますし、流木を使ったブランコもあったりして、ビーチでのんびりするのにもおすすめです
お隣の扇浦海岸も静かで美しい砂浜ですし、設備も整っているので、家族でゆっくりするのに向いている感じでした
小港海岸、コペペ海岸
こちらも村営バスでも行けるし、レンタバイクなどでも行きやすい場所にあります
僕はレンタバイクで小港海岸へ行き、そこからシュノーケルで泳いで、隣のコペペ海岸へ行ってきました
まず小港海岸ですが、僕的には今のところもっとも居心地の良い一推しのビーチです!
バス停や駐輪場のある入り口からビーチに至る森の中の小道のどこか懐かしい雰囲気、広々とした白い砂浜、コバルトブルーの静かで美しい海、鳥の声と波の音しか聞こえない静かな空間、人工物のほとんど見えない、大自然に包まれた世界、透明度の高い水中をのんびりと泳ぐ魚たち、、、
とにかくその空気感が最高でした!
トイレや休憩所もあり、水や食料を持っていけば、一日ゆっくりすることもできます
お隣のコペペ海岸も、こじんまりとした美しい海岸でした
ここにもトイレや休憩所がありました
海中には、サンゴの説明などが書かれたパネルがいくつか設置されていました
宮之浜海岸
大村地区の中心から歩いて20分くらいのところ、父島の北側にある海岸です
前回、星空を見に宿の人たちと歩いて行って、素晴らしい星空鑑賞ができたので、今回も、まずは夜に歩いて行ってみました
結構雲が多かったけれど、雲が晴れたエリアでは綺麗な星空を見ることができました
夜道は途中から街灯がなくなるので、懐中電灯などの灯りを持って行った方がいいです
その後、昼間も行ってみましたが、かなり寒かったので泳ぐのはやめておきました
海の中は珊瑚が発達していて魚がたくさんいるらしいです
隣の釣浜と遊歩道でつながっているので、今度行った時は釣浜にも行ってみたいと思いました
製氷海岸
ここ製氷海岸は大村地区の中心から歩いて40分くらい、レンタバイクだと5分くらいのところ
小笠原海洋センター前から「赤灯台」と呼ばれる赤色の灯台のある防波堤沿いにかけて、枝サンゴの大群落が広がっています
浜辺は狭くて珊瑚ダストが多く、そこでのんびりするという雰囲気でもありませんが、海の中は一面に広がる立派な枝サンゴの群落が圧巻でした
サンゴ礁の周りにはたくさんの熱帯魚が集まっていて、まさに天然の水族館のようでした
珊瑚の美しさとそこに群れる魚の多さという意味では、今回見た中で一番だったと思います
陸のガイドツアー
僕は森や植物など、陸上の自然も大好きなので、前回も今回も森のガイドツアーに参加しました
ちなみに前回は戦跡ツアーとナイトツアーにも参加しました
そもそも小笠原は「東洋のガラパゴス」とも呼ばれているように、海だけではなく、むしろ陸上の生態系、生物多様性にこそ特徴があるそうです
小笠原が世界自然遺産に認定された理由も、その特殊な生態系にあります
そこらへんの知識的なことについては、小笠原自然情報センターのホームページに詳しく書かれていたので、そのリンクを貼りますね
なお、どのツアーにも言えることですが、その時の気象条件、参加メンバーの要望などに応じて、行き先や内容はかなりフレキシブルにその場で決めることができます
東平アカガシラカラスバトサンクチュアリ
ここは森林生態系保護地域であるため、許可を受けたガイドが同行しなければ入ることができないエリアです
そして名前のとおり「アカガシラカラスバト」という絶滅危惧種のハトの聖域となっています
このアカガシラカラスバト、滅多に会えないのですが、今回、幸運にも目の前を飛んでくれたので、バッチリ見ることができました!
写真を撮る余裕はなかったので、小笠原観光協会のホームページ内のアカガシラカラスバトの写真を借用します
それ以外にも、小笠原には動物・植物ともに、数多くの固有種、固有亜種が存在しているということで、本当に貴重な自然の宝庫なのだと感じました
ガイドさんの説明で印象的だったことの一つは、小笠原には猛獣的な動物がいなかったので、アカガシラカラスバトですら、生態系の最上位クラスの生き物で、まさか自分をとって食う生き物がいるとは思っていないため、野生化した猫に簡単に食べられて数が減ってしまったということでした
島のあちこちに、猫を生け捕りにするための罠が仕掛けられていて、かなり捕獲が進んでいるので、アカガシラカラスバトの数も増えてきているそうです
もう一つ印象的だった話は、小笠原では植物の間でも競争が激しくなかったので、目立つ大きな花をつける必要がなく、固有の植物の花は概して地味なものになっているということでした
戦跡ツアー
僕は、前回、板長の戦跡ツアーと呼ばれるツアーに参加しました
小笠原諸島は、太平洋戦争の激戦地で、特に硫黄島の激戦は映画にもなっている有名な話です
父島の森の中にも当時を忍ばせる戦跡が数多く残っています
そういった戦跡を巡りながら、戦争の実情を教えてもらう戦跡ツアーは、小笠原ならではのものですし、単なる観光だけで終わらない何かを心に残してくれる貴重な体験でした
戦跡ツアーについても、小笠原観光協会のホームページに掲載されている案内の部分のリンクを貼りますので、参考にしてください
ナイトツアー
僕は前回、「たびんちゅ」さんが催行するナイトツアー「スターウォッチングツアー」に参加しました
これは、オガサワラオオコウモリなどの希少な夜の生き物を観察しつつ、星空観察スポットで、望遠鏡を使っていろんな星を観察したり、地面に横になって、星座の話を聞いたり、ウクレレを聴いたりしながら星空を鑑賞するもので、とても印象深かかった思い出があります
参考までに、たびんちゅさんのホームページのリンクを貼りました
大満足の父島グルメ
今回は、宿泊先で食事を取るのではなく、昼食はお弁当、夜は街の飲食店を利用する形にしました
そして「小笠原グルメマップ」を参考にして父島のグルメを堪能したので、実際に利用したお店をいくつか紹介しますね
下の地図は、小笠原観光協会発行の小笠原グルメマップの中の一部分です
民宿南国荘おやつのにわ
トロピカルフルーツお店
敷地内で採れた新鮮なトロピカルフルーツが食べられます
僕はアナナとシャシャップという初体験のフルーツ、それと紅白グアバジュースを試してみましたが、どれもとても美味しかったです
それと、ここにきたらぜひ体験して欲しいのが、西アフリカ原産のミラクルフルーツ
これを食べると、その後1時間くらい、酸っぱいものが甘く感じられるようになるという不思議なフルーツです
ミラクルフルーツと6種類の酸っぱい食べ物のセットがあったので挑戦してみました
この写真だと、トマトの脇にある小さい種のようなものがミラクルフルーツです。トマトから順にスターフルーツ、ドラゴンフルーツ、梅干し、真ん中がヨーグルト、コップにはレモン汁が入っています
最初に、梅干などの酸っぱいものを一口ずつ食べて酸っぱさを確認した後、ミラクルフルーツを口に含んでゆっくり舐め回すように味わいます
その後で同じ酸っぱい食べ物を食べてみると、不思議なことに全て甘くて美味しいという味覚に変わっていました
これは、舌の甘味を感じる神経に、ミラクルフルーツに含まれるミラクリンという物質が付着し、そのあとで食べた酸っぱいものがこのミラクリンにくっつくとミラクリンを通して甘味神経が刺激されて、甘く感じるということだそうです
民宿南国荘のおやつのにわについてのページのリンクです。不定期営業の小さなお店なので、営業しているかどうかなども、ここで確認してください
波食波食(パクパク)
僕はお酒を飲みませんが、夜、普通の定食的なものが食べたくなって入った居酒屋
昭和レトロな雰囲気で作られた、広くて明るい、気楽に入れるお店です
郷土料理の店島寿司
小笠原の郷土料理と言えば、「島寿司」。サワラなど白身の魚を、醤油やみりんでづけにした握り寿司です。ワサビではなくカラシが付いていて、甘めの酢飯ととてもよく合います。
小笠原村観光協会HP「郷土料理と特産品」から
ということで、その名のとおり「郷土料理の店 島寿司」というお寿司屋さんのランチを食べました
頼んだのは、島寿司と島魚の握りの盛り合わせ「小笠原寿司」(1500円)
もともと明治時代に、限られた食材で工夫して作られたのが起源という島寿司。クセになる美味しさでした!
最終日、別のお店でですが、島寿司のテイクアウトを予約して買い、船の中でも食べました
オーベルジュサトウ
父島の飲食店で一番のお気に入りが、ここオーベルジュサトウ
イタリアンのお店ということですが、オムライスのような洋食もありますし、時期によりますがラーメンもあり、何を食べても納得のおいしさでした
店内や店員さんの雰囲気も気持ちよく、全席禁煙なのもありがたかったです
いろんなメニューを試してみたくて、滞在中、何度も足を運んでしまいました
オーベルジュなので、宿もやっています
ボニーナ
なぜか無性に魚の唐揚げが食べたくなり、小笠原グルメマップにアカバの唐揚げが載っていたのを見てこのお店に入りました
店内は、小笠原小学校の前身、米国統治時代に作られたラドフォード提督小学校をイメージして建てられたということで、天井が高くて、居心地の良い空間でした
もちろん、料理も美味しくて、大満足でした
ハートロックカフェ
こちら「ハートロックカフェ」は、ツアーのところでご紹介した「竹ネイチャーアカデミー」と同じところが経営していて、場所も同じ
同じ場所で「ハートロックヴィレッジ」というオシャレな宿とギフトショップもやっています
ハードロックカフェという有名なお店がありますが、ここは父島の名所ハートロックから名前をとったと思われます
木造、オープンテラスの気持ちいいカフェです
僕は出航日の午前中に、竹ネイチャーさんの陸のツアーに参加したので、ツアーを終えて戻ってきた後、ここで名物のサメバーガーを食べて一休みし、贅沢な時間を過ごしました
父島の買いもの
父島で食品や日用品などの一般的な買い物をするのであれば、小笠原生協とスーパー小祝で大体まかなえると思います
この二軒、メイン通り沿いに向かい合ってお店を開いています
その他、JA農産物観光直売所には、地元の食材やお土産的な食品類などが並びます
僕はソフトクリームに小笠原の塩を振りかけた塩ソフトをここで食べました。美味しかったです
重宝したのが「佐藤商店」
お店は小さいのですが、早朝6時30分から深夜24時まで開いていて、早朝からお弁当も売っているというところが大変便利で、何度かお弁当を買いに行きました
父島の宿
父島には、民宿、ペンション的な宿がたくさんあります
前回は、小笠原ユースホステル、今回はAQUAとウエストannexに宿泊しました
小笠原ユースホステル
ここは噂によると全国に数あるユースホステルの中でも、北海道の礼文島にある桃岩荘と並んで知る人ぞ知る名物ホステルということらしく、僕も最高に楽しい滞在を経験しました
僕が最初に小笠原の大ファンになったのは、この宿、そしてここを運営するオーナーご夫妻のおかげだなと思うくらいです
希望に応じて宿で夕食をとれるので、結局毎晩ここで食べたのですが、3泊の滞在のうち、1日目は歓迎会で、みんなが集まって自己紹介し合いました
ユニークな常連さんも多くて、すぐにみんな仲良くなりました
なので、2日目からは、気の合った同士で一緒に出かけたりするようになり、2日目の夜も自然と宴会のようになりました
さらに3日目は送別会が予定されており、そこでは一人一芸が必須となっていたので、初めて知り合った人たちと一緒に出し物を考えたり練習したりして、また仲良くなりました
送別会はもちろん大盛り上がりで、オーナーご夫妻の奥さんのウクレレと歌を聴くこともできました
こういう、初めての人との出会いや交流が旅の醍醐味の一つなんですよね
そういう旅がしたい方は、小笠原ユースが合っていると思います
AQUA
こちらは、ご主人がシェフで、料理が素晴らしいと評判の宿
おがさわら丸が出ている期間は夕食の提供がなかったのが残念でしたが、毎朝おいしい朝食をいただき、オーナーご夫妻の優しい笑顔に癒されました
パンも自家製です
宿はデザイナーによるオシャレな作りで、限られた敷地の中でも空の広がりを感じられる素敵な空間でした
ウエストannex
ウエストannex(別館)は、メイン通りの大村海岸側に建てられた新しい綺麗な宿で、ベランダや屋上から見る二見湾の眺望が素晴らしかったです
特に屋上テラスはデッキチェアとテーブルがあり、とても気持ち良い場所でした
夜中に屋上に出て空を見ると、天の川が綺麗に見えました
次回やりたいこと
小笠原には、きっとまた遊びに行くと思います
旅を終えて間もない今、「今度行ったらこれをやりたいな」と感じていることを挙げてみると
- やっぱりドルフィンスイム。今度は素潜り上達して(半日)
- 小港海岸から歩いてジョンビーチ、ジョニービーチへ(一日)
- サンセットカヤック(半日)
- 西海岸方面ガイドツアー(一日)
- ハートロックガイドツアー(一日)
- 今まで泳いだことのない浜でのんびりシュノーケリング(半日)
- ウミガメの孵化、放流見学
といったものが浮かびます
あとは、一航海か二航海か、そのとき催行されているツアーの種類などを見て、その時の感覚にしたがって予定を立てると思います
東京(竹芝)へ
楽しすぎた小笠原滞在だったので、最後は帰るのが名残惜しい時間でしたが、前回も今回も、不思議と充足感が強く感じられました
帰りもおがさわら丸での24時間の船旅ですが、その前に、小笠原名物の感動のお見送りがあります
盛大なお見送り
おがさわら丸出航の15時までの時間をゆったり過ごせるよう、宿の人が港まで荷物を運んできてくれました
出航前の港で、お世話になった宿の方達から荷物を受け取り、そこで最後のお別れの挨拶ができることで、なんとも言えない満足感・完了感があり、幸福な気持ちになりました
今回は新型コロナウイルスの関係で観光客も見送りの人も少なめだった気がしますが、それでも船が接岸している目の前のエリアには、大勢の島の人たちが集まり、小笠原太鼓の演奏などで、お別れのメッセージを送ってくれました
そして、小笠原特有の「行ってらっしゃーい」という別れの言葉に見送られて船が出ると、待機していたツアー業者の船たちが後を追って一斉に出航し、何艘もの船がおがさわら丸の右側をしばらく並走して、港の外まで見送ってくれるのです
さらに、それぞれの船の上から何人かが海にダイブして最後のお別れをしていき、最後の一隻が戻っていく頃には、すでに二見湾の外に出ているくらいになっていました
この心のこもった見送りには、毎回本当に感動させられますし、こちらも自然と「行ってきまーす。また必ず帰ってくるよー」という気持ちになります
父島に飛行場を作るという話もあるようですが、個人的には、こういう情緒ある旅ができることも小笠原の魅力の一つだと感じています
帰りの船内
おがさわら丸での過ごし方については、前編で詳しく書いたのでそちらを見てください
ただ面白いなと思うのは、大多数の観光客が、同じ船で来て、島内でも何度も顔を合わせ、また同じ船で帰るので、この旅で初めて知り合った人とも、親しい友人のように話ができますし、一緒に特別な経験をした「仲間」みたいな感覚を感じることもありました
お腹が空いたら、父島で買ってきた島寿司を食べ、来るときとは違った、ゆったりした感慨深い想いの中で時間が過ぎて行きました
夕陽、星空、朝陽も楽しみでしたが、残念ながら今回は雲に隠れてあまり見えませんでした
おわりに
いかがだったでしょうか?ここでは、僕が実際に経験したことだけをご紹介してきたので、他にもたくさんの魅力、素敵なアクティビティーやスポット、美味しいものや面白い人たちがいるはずです
つくづく、小笠原は、日本の宝、それだけでなく世界の宝だなと感じます
僕は、この豊かで美しい海と森の素晴らしさを実感することで、本来の人間性を少しずつ取り戻し、自然とともにある生き方の感覚を蘇らせるきっかけにもなりました
この美しい自然を後世に残しながら、多くの人に体感してもらえるといいなと願わずにいられません
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